ハウスメーカープロデュースの戸建住宅。

開発途上の住宅地における計画で、建設当時の周辺は空地の状況だった。その後の予想される状況を鑑み、基本的に周辺に対しては閉じたプランとした。一方で、出来る限り大きな中庭を設けてその周りに諸室を配し、プライバシーを保ちつつ、明るく開放的な空間となった。

外観は、住宅という感じがしないミニマルなデザイン。白と黒のツーカラーで構成された上に、ランダムな丸穴の空いた鉄錆(塗装)のボックスがオブジェのように浮かび上がって面白い表情を作り出す。

インテリアは一転、大人っぽい落ち着いた雰囲気でまとめられている。メインルームは、天井と壁面収納が一続きのやわらかな曲面で構成されており、空間全体が家具的な要素で覆われることで、心地良いスケール感と大胆な構成を演出している。

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外観

白いBOX(住宅)、黒いBOX(ガレージ)の間に、鉄錆BOXが挟まるように乗っかっている。
コンポジションの強調、スケール感の逸脱など、あえて抽象的な表現に徹して、住宅的なイメージを感じさせない。

オブジェライクなBOX

鉄錆BOXにはランダムな開口が多数穿たれ、オブジェのように全体の中で浮かび上がって見える。
夜には、この開口が光の粒子となってぼんやりと灯り、また違うイメージのオブジェとなる。

中庭

四周を壁に囲まれた中に、大きな中庭が納まっている。この周囲に諸室を配することで、家族が寄り添い集まって暮らすことの意味が、象徴的に表現される。同時に、採光や換気などの基本的な性能は、十全に満たされている。
中庭は二段の立体的な構成になっており、1階のプライベートルームと、2階のファミリールームを緩やかにつなぐ。機能的にも、多様な使用方法が考えられる。ここに階段を設けることで、内部と中庭とでサーキュレーションを実現している。

2F ファミリールーム

ファミリーが集う2Fのメインルームは、レベル差を設けることで領域が機能的に区分されつつ、緩やかなワンルーム空間を形成している。このレベル差は、床下収納として有効に活用されている。
一面は中庭に向かって大きく開放されており、実際の寸法以上の空間的な広がりを感じさせる。

2F ファミリールーム(反対側より見る)

天井と壁面収納は一体の湾曲した面として構成されている。家具的な仕上を施されたオブジェのようなアイテムが室全体を覆うことで、適度なスケールを持った一体感が形成され、落ち着いた大人っぽい雰囲気が醸し出されている。
天井の照明はランダムに見えるように配置されていて、夜は幻想的な情景を作り出す。

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